ソフトテニス観戦記

ソフトテニス観戦記、コラム

【ソフトテニス】2018年天皇杯レビュー

今更やねんすけど天皇杯のレビュー書きまぁす。

 

〇大会前の予想とか

今の男子ソフトテニス界のダブルスって、群雄割拠状態なんすよ。シングルスでは船水颯人選手っていうバケモノが一人勝ちですけど、ダブルスは篠原・小林以降天下を取っているペアがいない。篠原・小林自体、2013年辺りのピークを最後に衰え始め、2015年からは飛びぬけてるペアが不在状態。去年に限っては丸中・長江ペアが無双しましたが、今年度は調子を落としている。なんで、正直どのペアが上位に来てもおかしくないなあと思ってました。

〇それでも優勝候補としてあがる3ペア

とはいっても、ほかのペアよりは頭ひとつ、ふたつ抜けているペアがありまして、それが

丸中・長江

船水・上松

増田・九島

の3ペアです。

2017年度から天皇杯直近までの主要な大会優勝者をみても、

 

2017年度(優勝者)

東日本選手権 安藤・内田

西日本選手権 丸中・長江

社会人選手権 丸中・長江

天皇杯    水澤・村上

東京インドア 船水・上松

社会人・学生対抗 増田・九島

全日本インドア 丸中・長江

2018年度(優勝者)

東日本選手権 船水・上松

西日本選手権 増田・九島

社会人選手権 丸中・長江

 

この通り、ほぼこの3ペアで占められています。

なんで、無難に言ったら優勝はこの3ペアのどこかから出るのかなあって思ってました。去年までだったら、圧倒的に丸中・長江ペアを推してたんすけど、前述のとおり、今年は西日本選手権で増田・九島ペアに負け、国体で鹿島・榊原ペアになんと4-0で負けてるんで、今年はわからんなあと。

このペア以外でいうと、インカレとった安藤・内田ペアが次点で、あとは正直優勝の力があるペアはないと思ってました。例年なら、NTTからもう1ペアくらい力のあるペアが出てくるんですけど、今年のNTTは去年のペアを崩してきたんで、丸中・長江ペア以外優勝は無いって感じでした。水澤・村上と船水・林ならいざ知らず、村上・林と船水・水澤が上記3ペアに勝てるはずないやんと。

 

〇結果

優勝 

船水・上松

準優勝 

中本・鈴木

ベスト4

林田・柴田

村田・広岡

ベスト8

安藤・内田

村上・林

内本・星野

桂・高月

 

この通り、丸中・長江と増田・九島が早期敗退した以外は予想通りとなりました。上松選手は初、船水選手は2度目の栄冠。

というかですね、3日目のベスト8に残った面子見ただけで船水・上松の優勝は決まったようなもんでした。現状船水・上松ペアに対抗できるのは、去年2回、同ペアに完勝している丸中・長江か、めっちゃ調子のいい増田・九島か、同じ大学の安藤・内田くらいなもんです。準々決勝で安藤・内田がファイナルまで食い下がりましたが、そこを乗り越えてしまえば敵なし。準決勝、決勝ともに5-0の圧勝劇でした。

 

〇感想いろいろ

 

・早期敗退した優勝候補

丸中・長江は桂・高月に敗れ、増田・九島は岡本・加藤に敗れて早期敗退しました。

ソフトテニスは、硬式テニスと違いワンセットマッチで勝負がつきます。なんで、調子が悪かったり、ゲームの入りが悪かったりすると、取り戻すのが難しいため、結構な頻度でジャイアントキリングがあるスポーツです。船水・上松もインカレでコロッと負けてますし、まあこんなこともあるかなあと。特に丸中・長江に勝った桂・高月は全盛期こそ過ぎている感がありますが、2013年の天皇杯優勝ペアであり、今年の実業団選手権でも丸中・長江を追いつめているため、勝ったのは不思議でもなんでもありません。岡本・加藤もしかり。ただ、トップ3ペアの直接対決が見られなかったのはちょっと残念でもあります。

 

・中本選手久々の上位入り

元世界チャンピオン、日本人前衛のスター選手である中本選手が帰ってきました。2016年にNTTから福井県庁に移籍して、そっからずっと結果が出なかったんですが、遂に上位帰り咲です。ペアの鈴木選手は高校、大学時代ともに丸中選手と組んでいたオールマイティーなプレイヤーで、中本選手と組んで両者が力を出し切れば、まあ、このくらいの結果はでるかなあと。それでも、船水・上松には手も足も出ず。中本選手途中笑ってたもんね。いや、まあ、あんな中ロブばしばし決められたら笑いもするだろうけど。中本選手が帰ってきてくれたのはうれしいけど、正直全盛期を知るものからすると、ぜんぜん物足りない。これからの活躍に期待なんだけど、NTTに残って、村上選手とずっと組んでた世界をみたかったなあ・・・

 

 ・NTT凋落

去年度は無双したNTTですが、今回の天皇杯はベスト4と8に一組ずつと、期待されていたほどの活躍は見せることができませんでした。理由としては、やはりペアの組み合わせかなあと。昨年の天皇杯を制したNTT2番手の水澤・村上は、実力こそ1番手の丸中・長江ペアに劣るものの、ダブル前衛、雁行陣を使いわけて戦う非常に面白いペアで、優勝はともかくとして、ベスト4には十分入れる力を持ったペアでした。また、3番手の船水・林ペアは純粋な雁行陣のペアとしては国内屈指の実力を持ち、こちらもトップ3以外にはほぼすべてのペアに対して有利に立てるはずでした。
が、今回の天皇杯は、船水・水澤、村上・林というペアリングで臨み、それぞれ内本・星野、中本・鈴木に負けました。

いやね、勝った内本・星野と中本・鈴木はそれぞれ素晴らしいですよ。でもね、正直なんとかならなかったんかいって。別にNTTの肩持つわけじゃないですけど、ある程度観戦歴ある人なら今回のNTTの2番手3番手はだめだなって見る前から分かったと思います。

たぶん、NTTの考えとしては、丸中・長江は不動の1番手。村田選手広岡選手は若手だからとりあえず4番手。2番手の前衛として、去年度までは水澤選手だったけど、衰えと将来性から今年からは林選手がランクアップ。後衛の2番手はまだまだ村上選手だし、船水選手にはダブル前衛も経験させておきたいから、

1番手 丸中・長江

2番手 村上・林

3番手 船水・水澤

4番手 村田・広岡

みたいなペアになるっていう感じだと思うんすよ。

んで、これが結果としては裏目に出たと。ほんとにね、西日本選手権のペアリング(水澤・村上、船水・広岡、村田・林)で勝負してほしかったです。

 

・的場・宮下ペアの復活

伝説の高田商業ダブル後衛ペアの的場・宮下ペアが復活してました。知らない人に説明すると、2002、2003年のインターハイ個人決勝で2年連続、三重高校の鬼頭・大賀ペアとの同一カード決戦を行い、2002年は敗れたものの、2003年はリベンジを果たし、ついでに団体戦も優勝するという快挙を遂げたペアです。今回は一回戦負けでしたが、おっさんにはたまらないペアの復活でしたとさ。

 

・船水・上松ペアは日本のエースとなりえるのか

今回圧倒的な力で優勝した船水・上松ペア。そんじょそこらのペアではもはや相手にすらならない安定感を見せています。

今後はやはり、丸中・長江、増田・九島相手にどれだけやれるかで評価は変わってくると思います。特に、丸中・長江に関しては去年度に二連敗しているので、今年度はリベンジしたいところ。増田・九島ペアとはまだ戦っていないと思われますが、ダブル前衛有利のインドアでの試合が続くこれからのシーズンでは、苦戦は免れないと予想します。船水選手はストロークを得意とする選手なので、これからも基本的には雁行陣で戦い続けるでしょう。ダブル前衛有利な近代ソフトテニスですが、オーソドックスな雁行陣がどこまで通用するのかも見どころの一つです。

 

〇あとがき

次の個人戦の主要大会は東京インドア、社会人学生対校、全日本インドアですかね。冬のシーズンなので、インドアでの戦いが続き、ダブル前衛有利の季節がやってきます。つぎこそは、上位3ペアの決戦が見たいところです。