ソフトテニス観戦記

ソフトテニス観戦記、コラム

2019年東京インドアレビュー

東京インドアを現地観戦に行ってきたのでレビューします。

 

【概要とか、会場とか】

 

〇大会概要

東京インドアは、ソフトテニスの大会では非常に珍しく、東京の中心地で開催される大会で、前年の成績が優秀だったペアが出場し、リーグとトーナメントで優勝を争います。

毎年千駄ヶ谷東京体育館で開催されているんですが、体育館の改修?の影響か今年は駒沢体育館での開催でした。駒沢体育館はコートが2面しかなく、そのせいか出場ペアも8ペアから6ペアに、試合数もその分減っています。

 

〇会場の感想

前述のとおり、試合数が減ったのが残念だったのですが、その分観客席からコートが近く、観戦という意味では大満足でした。というか、普段使ってる東京体育館だと、3階席の場合ボールが見えないんすよね。カラーボールつかえやっていつも思うんですけど、今回はそんなこともなく、大変観戦しやすかったです。

 

【組み合わせと予想】

 

〇組み合わせ

 

Aブロック

船水・上松

丸中・長江

増田・九島

 

Bブロック

中本・鈴木

林田・柴田

安藤・内田

 

〇試合前の予想

Aブロックに現時点で日本トップ3のペアが固まる事態に。今年はAブロックの3ペアを中心回っていくと考えていたので、早速直接対決が見られるのめちゃ楽しみでした。そして、このブロックの覇者がそのまま大会の優勝者になるというのが予想・・・というかその組み合わせ見た大半の人がそう思ったんじゃないすかね。

そんで、予想としては、Aブロックは去年船水・上松に二連勝している丸中・長江を一位に予想しました。前週にあった社会人・学生対抗では長尾・松本に敗れていたり、去年の後半から調子を落としている丸中ペアですが、インドアだし何だかんだ今日は勝つんじゃないかという予想です。

Bブロックは混戦ですが、安藤・内田ペアが少し抜けているかなという印象。

 

しかし、この予想は全て覆されることになりました。

 

【試合レビュー】

観戦できた試合だけレビューします。

 

〇中本・鈴木vs林田・柴田

同年代の天才前衛である中本、柴田選手の対決。その世代からしたらたまらない対決ですね。戦術としては、中本ペアはダブル前衛、林田ペアはダブル前衛も取り入れつつ、どちらかというと雁行陣主体の展開が目立ちました。

試合内容は、途中までダブル前衛の強みを生かした中本・鈴木がリードする展開。しかし、ゲーム2-1とされてから徐々に林田ペアの調子が上向きに。中本ペアは要所でもったいないミスが出て中々決めきれません。最後は4-2で林田・柴田ペアが押し切りました。

中本選手は相変わらずの天才性がでてるんでほんと惜しいです。どうしても、全盛期では考えられなかったミスが目立つんすよね。鋭く動く柴田選手としなやかに動く中本選手の対比はこの試合本当に面白くて、中本選手の完全復活が待ち遠しくなりました。

 

〇丸中・長江vs船水・上松

今大会最も注目すべきカードであり、現時点で日本最強を争うペア同士の一戦。

始まってすぐ気づいたのが、船水ペアがかなり完璧にダブル前衛の戦術を選択していること。後衛の船水選手は日本ナンバーワンのストローカーであり、去年まではインドアでも雁行陣主体の戦術をとっていたのですが、今回はダブル前衛を選択してきました。しかも、そのクオリティがものすごく高い。本職の前衛と見紛うほどのボレー、スマッシュを見せる船水選手。正直、これからも船水選手は雁行陣主体で戦っていくと思っていたのでここまでダブル前衛をものにしてくるとは思わず、驚きました。

試合の方は、序盤は丸中ペアがリードします。さすが、去年全日本インドアで船水ペアに完勝しているだけあって、ダブル前衛の戦術を使うと無類の強さを発揮する丸中ペア。しかし、去年の後半から調子落としていることもあってか、リードしていてもどこか余裕がない様子。ゲーム2-0でリードた後の第3ゲームを接戦の末落とすと、一気に流れを持っていかれます。対する船水ペアは序盤からリードされて余裕を失いません。磨き上げてきたダブル前衛を試すかのようにのびのびと動きます。

ゲームカウント2-2となった後半、余裕のなかった丸中ペアですが、ここで異変が起き始めます。丸中選手のサーブがまったく入らない。カットサーブが命の戦術を選択しているはずが、セカンドを上から打たなければならないほどサーブが乱れます。これ完全にイップスなんじゃないかと思うんですけどどーなんすかね。去年、丸中ペアはダブル前衛なのに憎らしいくらいミスしなくて、それこそ全盛期の篠原・小林ペアを彷彿とさせる強さを見せたんですが、この日は見る影もなかったです。

最後は一気に4-2とされゲームセット。この日の船水ペアの進化は凄かったですが、それ以上に丸中ペアの調子が・・・。去年の丸中ペアとこの日の船水ペアが対戦していたら本当に面白い試合になったであろうだけに残念でなりません。

 

〇丸中・長江vs増田・九島

 船水ペア戦での敗戦で完全に気持ちが切れたのか、丸中ペアは精彩を欠き、増田・九島ペアが4-1で完勝しました。九島選手がイケメンでした。

 

〇増田・九島vs船水・上松

丸中・長江ペアが早々に敗退決定し、Aブロックの1位はこの2ペアで争うことに。確か初対戦かな?増田・九島ペアも去年西日本選手権を制してからは中々調子が上がっていませんが、実績、実力ともに船水ペアとは遜色ありません。好ゲームになるのを期待していたのですが・・・

なんと終わってみれば4-0で船水ペアの圧倒。正直増田ペアの調子は良くなかったですが、それでも異常な強さです。去年の今頃は丸中ペア、増田ペアに少し劣る印象だった船水ペアですが、ここで一気に抜け出した感があります。また、この試合もとにかく船水選手のネットプレーが冴えわたり、本物の天才は何やらせても凄い、ということを見せつけていました。あと、髪型がかっこよかったです。

 

 

このように、Aブロックは船水・上松ペアが決勝進出。対するBブロックは林田・柴田ペアが安藤・内田ペアの棄権もあり決勝進出。

ここまでの戦いぶり、これまでの戦績からみて会場の99%は船水・上松ペアの勝利を確信してたんじゃないすかね。むしろ、何ゲーム林田ペアが粘れるか、そんな雰囲気するしていました。が・・・

 

〇決勝 林田・柴田ペアvs船水・上松ペア

この日の林田ペアはいつもと一味違いました。何が違うって、林田選手がめっっっっっちゃ調子よかったんすよ。柴田選手はまあ普通に好調くらいだったんですけど、林田選手が異常でした。予選あれだけ余裕があった船水ペアが完全に後手に回る試合展開。特に、ストローク戦になったときの林田選手は船水選手を圧倒的に打ち負かしていました。というか、あの調子の林田選手はキム・ドンフン選手にも打ち勝てるんじゃないすかね。とにかく、ものすごいバカ当たりで手が付けられない状態。後衛のバカ当たりというと、2006年に天皇杯を制した森田・香川ペアの森田選手が思い出されるのですが(古い)、その時も当時日本代表だった東・渡邊ペア、花田・川村ペアがベテランの森田選手に圧倒されていました。花田選手なんかどうにもならないよって顔をしていたのを今でも覚えています。そのくらい、この日の林田選手は凄かった。船水ペアは1ゲーム返すのが精いっぱいで終了。林田・柴田ペアが見事優勝しました。

 

【感想とか】

 

〇船水・上松ペアの進化

去年まで、ダブル前衛相手に苦戦していた船水ペアですが、今年からはダブル前衛の戦術も取り入れ、一気に進化しました。このまま篠原・小林ペアの再来なるか?

 

〇丸中・長江ペアの不調

今回の試合見る限りちょっと深刻ですね。特に丸中選手はイップス入ってると思うんで、じっくりでいいんで治していってもらいたいです。長江選手はベテランなのでそんなに長く見ることができないので、引退までもう一花咲かせるところをぜひ見たいです。

 

〇ベテランが優勝はうれしい

柴田選手をベテランと呼んでいいかは別として、最近早稲田をはじめとした大学生勢に押され気味の社会人。去年まではNTTの一人勝ちでしたが、最近は早稲田の一人勝ちモードになってきました。若手が活躍するのはもちろんいいことですが、ベテランが活躍できないスポーツって夢が無いですよね。中本選手、鹿島選手、井口選手、稲積選手、桂選手、高月選手、みんな学生の頃の方が輝いていました。色々事情が察しられますが、そんなスポーツいやじゃないすか?今回の林田・柴田ペアの優勝はそんなムードの中で、本当に嬉しかったです。